米津玄師 「Flamingo」
今日本で最も売れているアーティストは?
まずもって、「売れている」の定義であった「CD売上」が野球のオープン戦くらいアテにならない現在、はたして何を見ればよいのか難しいところです。
ビルボードのような総合チャートは一つの指針にはなるけど、あれもあくまでも複合的にバランスをみた最大公約数的チャートであるわけで、「売れている=枚数」ではないとすれば、かならずしもそれがベストではない(とはいえ、CD売上よりはアテになるでしょうが)でしょう。
となると、何か、
「感覚」じゃないでしょうか??
はい、キター!感覚大魔王発言!!!
でも、その時代の空気やさらに強く時代を扇動していくような雰囲気を持ったアーティストこそが、この平成の終わりの時代に「売れている」アーティストなのではないでしょうか。
そうなると、いろんな世代を含めて、嵐を巻き起こしていきそう(&巻き起こしている)のは、
米津玄師(よねづけんし さんです。こんなに売れてるのに間違って言っているのをめっちゃ良く耳にしますのでいちおう・・・)
時点でWANIMAあたり、かと…!!
特に星野源さんと米津さんは、これからの日本の音楽のスタンダード、あらたな道を作っていくアーティストであるように思います。
これからのスタンダードとは何か。
それは、新たな日本の音楽の再定義 です(きめつけ!)。
ただただ、ガラパゴス化した日本の歌謡曲と心中するのではなく、
ただただ、海外のシーンを妄信するわけでもない
海外のシーンをフラットにとらえたうえで、自分たちの土着的というか、贖えない心の中になっている音を具体化していく。
星野源さんの「イエローミュージック」とはまさにそれであり、
米津さんの「BOOTLEG」のご本人が畏敬の念を抱く様々なアーティストから、リスペクトのもと、手を借りていくスタイルも、まさに「日本の音楽の再定義」だと思います。
それを、ファンが思っていた以上にガッツリ推し進めたのが、この「Flamingo」でしょう。
海外のシーンにも共鳴したリズムにきわめて日本的な「うた」が乗る。
米津さんらしい、独特なサンプリングが、よりオリエンタルな、でも、一体どこにいるのかわからない、国籍を感じながらも圧倒的に無国籍な音を作り出しています。
でも、ここになっているのは「自由」ではない、と思うんです。
どうにも不自由な、異形の音です。
なぜか。これはもしかしたら「異形」の再定義なのかもしれません。
今、テレビやSNS上で、「ひととちがうひと」「じぶんとちがういけん」「ちょっとしたあやまちをおかしたひと」たちが、強く非難される機会がとてもとても多く感じます。
でも、人は違う。みんなちがう。
みんな違ってみんないいかどうかはわかんないけど、みんな違ってそこにいるし、在る。
違いを恐れるな。だって違うんだから。
この音の、曲の、どこかいびつな音像は、
「そこから目をそらすな」
「俺をみろ、そして自分を見ろ」
「いびつで、不気味で、格好悪いんだ、でもそれが命そのものなんだ、生きているというこことなんだ」「だから見ろ、否定する前に見て感じろ」
という、ある種、「命の不格好さそのもの」なのではないでしょうか。
そしてそれを肯定してくれる。いや、肯定もしない。「在る」とただ認める音楽。
性別も国家もどんな生き物もすべて「生命」であるという賛歌、にいたるまえのポップミュージック。
それがこの「Flamingo」であるように思います。
僕は詞をほとんど読まない(でも、すごく強く一部が頭にとんでくることは多々ありますが)ので、見当違いの意見かもしれないですが、でも、詞の意味がそのまま曲の意味になるとも限らないわけで、率直に感じた意見として読んでいただけるととても幸いです。
このPVは米津さんがフラミンゴよろしく、赤い服で、現代芸術のような、コンテンポラリーダンスのようなパフォーマンスを見せます。PVは公開2日ですでに400万再生ほどされており、「流石」の影響力を感じさせます。その彼の動きはとてもいびつで、それこそ「異形」を感じますが、非常にわかりやすく「フラミンゴ」を表現している点等は「安直」に思えるかもしれないなぁ、と思います。でも、それが良いんです。自分がそう表現したい、と思ったものに装飾する必要はない。大ヒットの前作「Lemon」で彼はハイヒールを履いていましたが、そこに過度に意味を求める必要はない。「履きたいから履けば良い」んです。
自分とは違う存在を肯定するこれからの時代の音楽を、きっと米津玄師さんはどんどん僕らに届けてくれるように思います。
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