チャットモンチー 「BEST MONCHY 1-Listening-」
ガールズバンドブームの火付け役。キャッチ―でポップなサウンド、数多くのフォロワーを生み出したバンド。
チャットモンチーを形容するうえで、ごくごく一般的な表現はこんなところでしょうか。
個人的にはチャットモンチーの凄さを知るには、時間さえ許すならば1stから順に聞いて貰えれば、一番よくわかると思います。でも、このベストでも充分。充分その凄さは伝わる筈。
まず、「ガールズバンドブームの火付け役」であるのは間違いない。チャットモンチー以前のガールズバンドといえば、ZONEに代表されるアイドル的な人気を誇るバンド(僕の中ではプリンセスプリンセスもここに入ります)か、少年ナイフやチボマットのような逆輸入型でポップだけどアヴァンギャルドな感じのバンドのどちらかだったのが、チャットはそのどちらでもなく、ただ単純に、ただただ格好良いバンドでした。更に、3人の非常に優秀な作詞家を擁するバンドでした。
そして、そこから数多のフォロワーが生まれ、今もシーンに強く影響を与えているわけですが、改めてチャットの音楽を聞くと、驚くほどその「フォロワー」と似ていない。誤解を恐れずに書くと、フォロワーは「似せることすらできていない」のだろうと思います。スリーピースバンド時代、2人で固定概念をぶち壊しながら突き進んでいった時代、サポートメンバーと共に様々な音を鳴らした時代、メカ時代。全てにおいて彼女らの音は常に「自由」なんです。何にも縛られていない。当然様々な音楽の影響を受けているのですが、それを吸収して音を鳴らした段階で、それは完全にチャットモンチーの音になっている。また、ただ自由なだけでなく、彼女たちの自由は、同時にもの凄い「緊張」を伴います。それこそが、誰にも似ていないチャットモンチーのすさまじさなんだろうと思います。
また、キャッチ―でポップと書きましたが、それはある種合っていて間違っています。
確かに彼女らの音楽はとてもポップですし、耳馴染みも良い。でも決して「キャッチ―」「ポップ」というくくりで済ませることのできる音ではない。代表曲の「シャングリラ」にしても、曲の構造的に普通のポップソングのていをほぼなしていない。
結局、チャットモンチーとは、どんな形容以上にひたすらにチャットモンチーなんです。他の何でもない。
僕自身は3rdまでは本当に完璧だと思っていました。日本のビートルズとすら言っていました(それは、自由で遊び心がありながらも、一つも無駄な音が鳴っていない、ということで)が、ミニアルバム「Awa Come」と4thの「YOU MORE」が正直僕としてはあまりピンとこなかったんです。その後の2人体制や2タイプバンド編成はそれはそれで非常に面白かったし、その「意地」と「自由」と「誇り」に非常に心を揺さぶられたのですが、曲としては3rdまでが本当に完璧だったと思っていました。
が、
このベストを聞くと、中期・後期の曲が驚くほど良い。しっかりとそれまでのキャリアが積み上げられている一方で、詞を含め何にも縛られていないチャットモンチーは健在で、どこの誰にも書けないであろう曲が詰まっている。
改めて、とにかく曲が抜群に良い。
演奏が最高に格好良い。
音が、普通の純度の倍くらいで耳に飛び込んでくるというか、
チャットを聞いていると凄く音が澄んで聞こえます。自分の耳とならされた音の間に余計なものが何もない、ただまっすぐに音が飛んでくる音楽。
それが、録音技術のせいなのか、何なのかは僕にはわかりませんが…。
とにかく、彼女らの音楽はいつまでもワンアンドオンリーだ、とこのベストを聞いて改めて思いました。時と共に風化したり、古臭く感じるようなタイプの音楽でもありませんし、是非是非、このベストを一度聞いて、それから気に入った曲があれば、その曲の入ったアルバム単位で聞いてみて頂けると…!
BEST MONCHY 1 -Listening-(完全生産限定盤)
- アーティスト: チャットモンチー
- 出版社/メーカー: KRE
- 発売日: 2018/10/31
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