ヅレブロ  日々の徒然~音楽、映画、ドラマ、キャンプ~

アラフォー男子inHokkaido。徐々に記憶力が落ちてきたワタクシの備忘録的ブログ。もし、だれかのやくにたてばとてーもしあわせです。これから書きたいことを考えてタイトルを変えてみました!!

きのこ帝国 活動休止によせて

5月27日をもって、きのこ帝国がバンドの活動休止を発表しました。

これだけ充実した活動期にどうして、という反面、佐藤さんのソロワークも非常に充実しているし、「きのこ帝国」である必要が無くなったのかな、と思いましたが、理由はベース谷口さんが家業(寺)を継ぐため、とのこと。びっくり。それこそバンドとして過渡期にあるようには感じていなかったので、本当に自分と向き合ったうえでの決断だったのだろうと思います。バンドは彼がもし戻ってくることがある時を考え、解散ではなく休止としたそうです。ということは実質解散と見るべきでしょうか。いや、でもお寺DJもあるし…とか思いますが・・・。

 

個人的には、きのこ帝国ほどドラマチックにバンドのさまざまが変化していったバンドも無いように感じています。当初の彼女らは、サウンド的にはシューゲイザー・ポストロックと呼ばれるジャンルで、今のせつなくも煌びやかなものとは本当に似ても似つかないものでした(でも、メロディの美しさ等、変化していないものももちろんあります)。この変化の中心にいるのは、おそらく間違いなくボーカル佐藤千亜妃さんで、当初彼女は中村一義氏みたいな髪型で、帽子を深くかぶり、名前も「佐藤」という性別もわからない、ある種「記号」のような名前で活動していました。そして、歌っている内容も非常に狭く暗い印象が強く、確か雑誌の記事で、だれそれへの恨みだけで曲を作った、というようなことを仰っていたと記憶しています。

 

そのサウンド・バンドの音楽性の大きなターニングポイントが、2013年末にリリースされたEP「ロンググッドバイ」と、変化を強く印象付けた、2014年9月にリリースされたシングル「東京」でした。

今までの音楽性を引き継ぎながらも一気に世界が広がっていき、その音がまとう色が澄んだ青色のようになっていった「ロンググッドバイ」。収録曲の海と花束のMVは、閉鎖的な空間の壁が倒れ、海辺の情景になるという、非常に象徴的なものになっています。

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そして、「東京」がまさに決定打だと思います。

ひたすらに「大切な「あなた」」への歌は、とてもエモーショナルでドラマチックであるとともに、普遍的な「愛」を歌ったものであり、今までの彼女らの印象を大きく変えるものでした。

 

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そして、ここから一気にサウンドはバリエーションが豊かになり、どことなくフィッシュマンズを連想させるクロノスタシスもこの時期にリリースされました。僕、この曲大好きです。

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メジャーへの移籍も相まって、さらに一気にポップさを増し、佐藤さん自身も、大きく印象が変わっていきます。服装や、ヘアスタイルなど、まさに「佐藤」から「佐藤千亜妃」になっていくような。その変化と音楽性は非常に深くつながっているように思えました。彼女の見る世界、感じたものがこのバンドの世界観に深くつながっているのだろうと思います。

 

そこから今に至るまでの変化は、多くの方が知るところでしょう。現在はもともと続けていた「クガツハズカム」というソロ弾き語りとは別に、個人名義のソロワークも行い、砂原良徳氏とEPもリリースしました。僕は、この休止報道を聞いたとき、おそらく強く強くこの「きのこ帝国」というバンドを必要としていたであろう佐藤さんが、その鎧のようなバンドを必要としなくなったのかな、と思いました。そして、他のメンバーも、どこか所在なさそうなところが印象的(特に男性陣)だったので、あぁ、彼らはきのこ帝国が無くても本当に大丈夫なのかな(と超勝手に)と思いました。

 

が、まったくもって予想外な理由でした。でもその「家業を継ぐ」という理由は、彼女らがこのバンドをとてもとても愛していたからこその決断のように感じます。バンドを・メンバーを皆が大事に考えていたから、その一人一人の人生としっかりと向き合ったがゆえ、この「休止」に至ったのではないでしょうか。

 

続いていくこの先の世界に「きのこ帝国」が活動を再開するのかはわからないですし、もしかしたら別のメンバーを加えることも(今は考えられなくても)あり得るのかもしれません。でも、このバンドが今までリリースした、すこぶる誠実な楽曲たちは、本当にこのメンバーで、この時にしか生まれえなかったものなのだろうと思います。

 

曲のタイプこそ違えど、本当に名曲ばかりのバンドです。そして、いつまでも聞き続けられる曲たちがたくさんあります。

 

それぞれの皆さんが、この先素敵な音を鳴らしてくれることを(それが音楽じゃなくっても)、とても楽しみにしています。

 

 

 ↓今のところの最新作のアルバムを貼っておきます!

今改めて聞くと、ある種総括のような傑作だと思います。

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