NUUAMM waterless tour 美唄 @安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ
NUUAMMは、青葉市子さん(以後市子さん)と以前このブログでも書かせて頂いたGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーさん(以後マヒトさん)によるユニットです。お二方とも有名な方なので、多くの方が知っていると思うのですが、ユニットをしていることはもしかしたら知らない方もいらっしゃるかもしれません。僕、知りませんでした・・・。
知らなかった方は、是非このツアーのウェブページをご覧ください。
似てる。
似てますWA。
実際には市子さんは小柄な方なので、背丈は違いますが、似てる。
見た目がどうということもないのですが、ライブの間中、その「相似性」というものが、ありとあらゆる形で僕の脳裏をよぎりました。
簡単にこのツアーについて、勝手ながら書かせてもらいますと、北海道を「モバイルアースオーブンカー(これについては僕も詳しくないのでぜひ調べて頂けると…)」で巡るツアーなのですが、このツアーは、3.11以後、福島より札幌へ移住し、「たべるとくらしの研究所」というお店をやってらした、安斎ご夫妻が(現在は蘭越にて次の展開の準備をされてます)主催されているものです。中でも僕が行ったアルテピアッツァ公演は、NUUAMMとして、では無く、唯一、市子さんとマヒトさんのソロレコ発ツアーという、スペシャルなものでした。
そして、このアルテピアッツァという場所。
小学校の旧校舎を改修し、彫刻家、安田侃氏の作品をありとあらゆるところに展示しているのですが、多くの安田氏の作品がそうであるように、触るのも座るのも自由です。元々僕はこの場所がとても好きで、安田氏の作品が好きでした。好きです。
なんというか、シンプルで「つるん」とした作品なのですが、見ているとその中の宇宙に吸い込まれるような、違和感と一体感が同時にあるような、なんともいえない存在感があるんですよね。この「一体感・違和感」というのも今回の個人的なキーワードでした。
会場は、このアルテピアッツァの旧体育館でした。
僕は、いつ行っても、この体育館だけ漂っている空気が違うように感じていて、
安田氏の作品は温もりがあると思うのですが、ここだけは、とても”ひんやり”としているんです。建物自体の色味とか、きっと単純な理由なんでしょうけど、孤独や寂しさが強くて、個々の作品も複数あるのに一人でいるように感じるんです。そこでのライブだったのも僕の中ではとても意味があるように感じました。強い「個」を孤独を感じる二人のライブは、その寂しさと教会のような荘厳さ、でもひたすらに1対1のコミュニケーションを切望する、近すぎるほどの距離感を感じる、とてもとても素晴らしく、凄まじいものでした。
各楽曲については、詳しい方におまかせするとして、僕の感じた印象というか感想を、だだだだと書き連ねさせてください。
とにかく、お二方ともとてつもない、途方もないような歌声でした。
音程がどうとかいうことではなく(いや、特に市子さんは音程も微塵もブレてませんでしたが…)、そこにすべての真実があるような、宇宙がそこから息づいているような、生命の鼓動が歌声になっているような、素晴らしく素晴らしい、最高の音楽空間でした。
とにかく、様々なものが、正反対であるような、でもそれこそがパーツを補い合っているような気がしたんです。
先ほどから、「相似性」「一体感・違和感」がキーだと言っていたんですが、
とにかく、お二方が作り出す世界が…すこぶる、曖昧且つ、正しく伝えづらい表現で恐縮なのですが「宇宙」を感じたんです。
昔、何かで、ミクロとマクロは同じで、ミクロをつきつめると、その先にマクロ(宇宙)がある、というのを聞いたことがあったんですが、まさにそんな感じで、
ただ一人の声とギターが鳴らすその振動が、そのまま宇宙につながっているようでした。
実際、「宇宙」を感じさせるような歌詞も多くあったのですが、それとは別に、その空間そのものがまさに様々な真実にリンクしているような、とてもとても、ある種「崇高」な空間でした。
こう書いても、「崇高」と同時に「猥雑」という言葉が脳裏をよぎります。
とにかく、相対する言葉がひたすらに同時に出てきたんですよね。
市子さんの「剛」とマヒトさんの「柔」(これは逆に感じる方も、ともに柔と感じる方も様々だと思います)
バランスがとれた瞬間の圧倒的なアンバランス
ほほ笑みと同時に除く孤独
二つのピースが重なった瞬間にすべてが崩れてしまうようなバランス
アルテピアッツァ講演は、ソロライブだったんですが、最後はNUUAMMとしても歌って下さいました。その二人の声が重なる瞬間、本当にすべてが完成して、すべてが崩れるような、でもその重なった世界はダイヤモンドよりも固いような、それが一瞬でくずれるような、見たことも聞いたこともないような世界がありました。
ものすごく孤独で、ものすごく温かくて、でももうそれはそこにないような気もして。
あ、あとつい先日見た「海獣の子供」も思い出しました。あれも宇宙の話でした。
外は強く雨が降っていたんですが、そこにもその先の世界が透けて見えるような(それが希望なのか絶望なのかもわかりませんが)。
とても、素晴らしい。永遠と瞬間を感じる、ライブでした。
追記
大事なことを一つ書き忘れました。音響がとても良かったです!
体育館ですけど、反響したりこもったりすることなく、僕は後ろの方に居たのですが、歌声、ギターの音色がしっかりしっかり聞こえました。これも、一対一のコミュニケーションを感じられた大きな要因だったと思います。