Mrs.GREEN APPLE 「僕のこと」
あけましておめでとうございます。今年もなにとぞ、「あ、ギターがイマイチでしたね」という、なんとも言えない名前のブログをよろしくお願い致します。
新年一発目は、1月8日のリリースに先駆け、表題曲「僕のこと」がサブスクリプション配信されております、ミセスの新曲を。
以前より、ヴォーカル大森さんの作詞家、作曲家、ボーカリストの全方位的才能がバッチンバッチン炸裂する楽曲をシーンに送り込み続けている彼らですが、それらを一段階上の段へと持ち上げるような決定的な一曲です。
・ドラマチックすぎるほどドラマチックな曲展開
・そもそもメロディがキレッキレ
・シニカルさがありながらも真正面から時代や若者を鼓舞し、包み込み、応援し続ける詞
それら、ミセスの魅力が全てにおいてクオリティが上がり、僕のようなオッサンまでキラキラした心が、くすんだ地下室から「おい、自分。俺はまだここにいるぜ」とバンプ初期曲のように僕に語り掛けてくるほどです。
曲展開の見事さは本当に以前から目を見張るものがある彼らですが、元々上手だったストリングスの使い方が、一切の遠慮なく、普通10を12くらいにする効果がストリングスにあるとすれば、これは100くらいまで上がってる印象です。すごいっす。
そして、曲。どうしたってある程度のキャリアが積み上げられると、メロのマンネリ化が出てくる(これ決して悪いことじゃないと思うんですけどね)のですが、彼らはミセス印のメロディがありながらも、新鮮さが落ちない。しかも引き締まっている。これを雪の下キャベツメロディと名付けましょう。略称雪キャベロ。最強の雪キャベロを持つミセス。強し。
最後に詞、大森さんの詞は決して誰もをひたすらに持ち上げるような、ありきたりな応援ソングではなく、大人や斜に構えているような人については痛烈な牙をむく攻撃性と、今の社会へのシニカルさをもちます。
今作についても
ああ なんて素敵な日だ
誰かを好きでいる今日も
頬濡らし眠れる今日も
ああ 嘆くにはほど遠い
狭い広い世界で
僕らは唄う
この「嘆くにはほど遠い」という歌詞は、「まだまだいけるぜ」とサラッととらえることもできますが、どちらかというと「まだまだ全然お前は足りないよ」というように、自分の甘やかすことを許さない厳しさがあります。
でも、その対象に対し、諦めない、というか対1の対象である相手にいつまでも逃げずに向き合ってくれる。
できる か できない かは、
社会の漠然とした評価なんかじゃなく、一体今のお前はお前の何パーセントなのか、という対自分の戦いであること、
そして、
「奇跡を唄う」と歌いながら、
「奇跡は死んでいる」 と歌い
「今日まで歩いてきた日々」を「軌跡」と歌う。
死んだミラクルのような奇跡より、ただただ、歩み続けた間違いようのない今を作った「軌跡」を歌う。
そして、最後に
僕と君とでは何が違う?
それぞれ見てきた景色がある
僕は僕として いまを生きてゆく
とても愛しいことだ
と、それぞれの軌跡を愛しく称える。その道はお前しか歩くことはできないだ、と。
優しい。優しすぎる。
ありがとうミセス。
その道を愛することは結局自分しかできないんだから、自分がまず愛そう。
僕もこの道(四十路)を歩いていくぜ。
というわけで、今年も宜しくお願いします!!!