原田珠々華 「Sixteen」
前に原田さんのシングル「プレイリスト」がリリースされた際、過去作を超える最高傑作と書かせて頂いたのですが、それを大きく大きく更新する、彼女が今16歳のシンガーソングライターとして歌えるであろう最高到達点の1曲だと思います。
とにかく、詞もメロディも、歌声も、今の彼女にしか歌えないし、明確に今歌う理由のある1曲であることを、そもそもタイトルで言い当てている。デビュー曲がFifteenで、本人の様々な葛藤や成長と共にSixteenにたどり着く(というか、その先を日々生きている)というストーリーは、間違いなく彼女にしか歌えないものだし、その描く詞の世界は、彼女自身の今を伝える言葉(語彙)を持っている。これって案外ないことだと思うんですよね。当然、皆が俗にいう「青春」を生きているわけですが、その刹那を強烈な主観と共にしっかりと客観視して描くには、その人なりの「言葉」が必要になる筈。彼女はそれを持っている。これってすごいことだと思います。
若手女性シンガーソングライターで、ギターを抱えて歌うスタイルは、やっぱりYUIに始まり、miwaに受け継がれていったと思うんですが、彼女たちと原田さんの違いは、「完成されている」かどうか、だと思います。
それぞれみんな自分で曲を書いているわけですが、YUI・miwaは(デビューから数曲は特に)とても出たての人とは思えない非常に完成された楽曲でした。本人たちがかいているのは勿論なのでしょうが、きっと大きなレコード会社や事務所による明確なイメージやプロモーション、しっかりとしたアレンジによって、ある種ブランディングがガッチリされていたと思います。それが悪いというわけではなく、僕もお二人とも大好きですし。でも、どうしてもそれは、届く半径を大きく広げると同時に、鋭さを奪っていたようにも感じます。そして、その活動はきっとご本人にとってとても大変なんじゃないでしょうか。だからきっと、YUIは活動を一度止め、yuiとして、戻ってきたように思いますし、miwaさんは、勝手ながら「強い!」イメージがあります。そこに負けないくらい本人の強さがある気がする(もちろん想像です。失礼があったらすみません…)。
原田さんは、ものすごく「生身」な感じがするんです。言葉が尖っているし、刺さる。今作の詞も本当に凄い。プロの作詞家レベルのスキルで私的な今を描いているから、彼女が歌うことで曲が変幻自在に動いて、変化して、歌を届けてくる。
ただ、これは人によって印象が違うと思うんですが…、ちょっと気になる点、というかですね…
この曲は、音源リリースよりも前にライブ映像が公式でアップされていました
おぉぉおおお!ベースがandymoriの藤原さんやぁ!!!!
と、北海道民の精一杯の関西弁でまず驚きましたが、それはそれ。
前作プレイリストは同じくandymoriドラムの岡山さんが参加してたし、豪華!
ベースはえみそんさんだったし豪華!!!!!
と俗っぽい音楽魂が騒いだのは最初だけで、聞いているうちに、この曲の魅力にガッツリとりつかれました。
なんだこれ!プレイリストすげえって思ったけど、どんだけ塗り替えるんだ!!!
という衝撃。
そして、これが音源としてリリースされたもののMVドス!!
どうでしょうか??
これ、どちらが好きかは好みだと思うんですが、僕はライブの方が好きなんです。
音源のもとっても良いんですが、それこそちょっとこじゃれてるというか、オーバープロデュースな感じがするというか、言ってしまえば、上記のYUIやmiwaみたいな感じがちょっとするんですよ。これ、プレイリストもちょっとそんな感じがあったんですけど、今作は原田さん自身の表現力がガッツリあがったがために、それを前作以上に僕は感じたんです。
彼女は、繊細さ、強さ、様々なものを併せ持った、今だからこそのミラクルがあるだけでなく、この先にはきっとそれ以上に世界を大きく大きく広げられる才能を持っているシンガーソングライターだと思います。
音楽と共に彼女の世界をリアルタイムで体感できるのは、音楽ファンとして、とても素敵な事で。
次の楽曲で我々リスナーを、どこの場所へ・どこの感情へ連れて行ってくれるのか。ただただ楽しみです。