ヨルシカ 「春ひさぎ」
ここ1週間ほどヨルシカばかりを聞いている。
単純にハマった。ここ数年ないほどにハマった。最高だぜヨルシカ。
最初のきっかけはtk from 凛として時雨がヨルシカのボーカル、suis(スイ)さんを迎えた「melt」という曲を聞いてsuisさんの声をとても気に入ったからで。でも、ヨルシカ自体にはその段階では、そこまで大きく惹かれなかった。ノーチラスとか良いなーと思ってたのだけど。
で、ちょっとしっかりと聞いてみようと、プレイリストを作ったのが沼だ。それ以来沼沼でヌマヌマだ。
元々ボカロ界隈で名を馳せていたn-buna(ナブナ)さんという方とボーカルsuisさんのバンド、ヨルシカ。とにかく僕はボカロに疎いのだけど、これをきっかけにナブナさんのプレイリストも作ってみたがやっぱり僕はボカロははまらない。世代(アラフォー)なのか好みなのか。
若い世代の若様たちに熱狂的に支持されるヨルシカが、その文脈から評価されているのは間違いないと思うのだけど、そこまで強烈にボカロP出自感があるわけでもないヨルシカのサウンドは、正直、90年代に青春を過ごした僕らアラフォーや、もしかしたらアラフィフの皆さんにもかなり響くもののように思う。痛みや喪失を歌った歌詞を「若い」と受け付けない人はいるかもしれないけれども、n-buna氏の描くメロディは、彼が好きと言っていたthe1975や、レディオヘッド(モロにクリープのズギャッ!!!というギターが入ってたから多分!)等ukの感傷的ロックサウンドも大きな要素なのだろうけど、個人的にはとても90年代以降の邦楽ロック(ロキノン系と言っても良い)の影響を強く感じるので(アジカンやバンプ、フジファブリックや彼らのフォロワーであるカナブーンあたりまで)、僕の世代、というか、少なくとも僕にはとても聞きやすかったし、引きつけられた。嫌みな言い方に聞こえるかもしれないけど、彼らの音楽はとても優秀な邦楽フィルターがあるように思うし、とても邦楽的だと思う。
とにかく、彼らの魅力は何と言ってもn-bunaの切なく美しいメロディとそれを120%引き出すsuisの声だ。ここには本当に彼らにしか描けない世界があるし、音がある。
極めて個人的なことなのだけど、僕はどうしても詞が頭に入ってこない。音楽は大好きだし、そんじょそこらの同世代の人よりも、よっぽどいっぱい聞いていると思うけど、これはどれだけメッセージ性が強いバンドでも、歌詞カードを読みながらでもダメなので、そういう残念な何かが僕自身にあるのだろう…。だから全くもってカラオケで歌が歌えないことが多い。話題がそれたけど、何が言いたいかと言うと、それでも彼らのストーリーはイメージとして強く残るということだ。それだけ彼らの詞には、楽曲には「強さ」があり、完成された世界観があるのだろうと思う。
そして、今作は7月リリースのニューアルバム「盗作」からの先行配信。過去2作で、エイミーとエルマという二人のストーリーを描いた淡い青色の世界から一転。今作は「音を盗む」「俺」の話。ということで、その音も大きく変化を遂げている。
ネットだと「ジャズ」というキーワードが多く見られ、とにかくその変化に皆がワクワクしているのが伝わって、勝手ながらとても興奮した。
何というかウッドベースが似合いそうな、彼らとしては新機軸であろうサウンドは、確かに「ジャズ」というのはわかる。僕の適当な知識でもつなげることができる。ただ、ジャズというのはとても幅の広いもので、その中でもこの曲の音は、やはりとても邦楽的なものに感じた。どこかしら最初のころのエゴラッピンのような。
suisさんの歌い方も低音の効いた歌声になり、これもまたとても魅力的。
それこそ僕が最初に好きになったtk氏とのmeltもヨルシカとは全く違う歌い方だったので(現代版nokko!!と思ったのでしたよワタクシはね)
もの凄く表現力のスキルがあって、まだまだ見えない顔がいっぱいある素晴らしいボーカリストだと思う。
この曲は、本当に新しい世界の扉をあけたような、ゲームの次のステージに行くワクワク感に似た、何とも言えない興奮が募る最高のリード曲だ。
アルバムの他の楽曲名も発表されており、
既発曲と同名の「爆弾魔」という曲名は、前作までの世界とここ(盗作)が同じで、その曲をどこかで聞いて盗んだのだろうか。
ティザーで流れるベートーヴェンの「月光(ごめんなさい、曲名わからずネットから拝借。聞いたことのあるフレーズだとは思ったんだよ!?でも曲名までわかんないの!ごめんね!)」とアルバムに付属する月光ソナタという少年が弾いたという曲名の関係も「盗作」なのか。
これを考え出した段階で完全にヨルシカの世界にドンズバっとハマっているわけなのだけれども。
ワクワクドッキドキでヨルシカにヌマヌマな状態で7月の末を待ちたいと思う。